10. ビーム位置検出ツールとしてのwebカメラ (2)

(2020/6/9掲載)

<ポンプ&プローブ実験におけるビーム合わせ>
前述の通り、ポンプ&プローブ実験では、ポンプとプローブのビームを試料上でピッタリ合わせなければならない。非線形光学結晶を使って自己相関波形をとる場合なども同じ作業が必要になる。信号の片鱗さえ捕まえれば、後は何とでもなると、高をくくってアライメントを始めると拉致が明かなくなるというケースがよくある。そこで、普通よく用いられるのは、図1のように試料からの散乱光をCCDカメラ(またはwebカメラ)で捉え、スポット位置を確認する方法である。カメラ系の倍率を1程度にしておけば、ピクセルサイズの分解能が得られるので、解像度は十分であるが、試料の表面があまりに平坦だと散乱光が弱くて見にくく、ごみやキズの散乱に惑わされて中心位置の誤認をするという問題がある。その場合は試料の代わりにアルミ箔の裏面などを置けば若干見やすくはなる。試料位置にピンホールを置いて、両方のビームが通るように調整しておき、最後に測定試料に置き換えるという方法もある。これは確実性はあるが、針の先ほどの穴にフォーカスしたビームを通すには、多少のテクニックを要する。

図1 ポンプ&プローブ実験におけるビーム合わせ(散乱光を見る方式)。

 そこで、最近筆者が使っているのはカメラ直置き方式である。試料周りに場所の余裕があるなら、図2のように、レンズを外したwebカメラを試料位置に置けばよい。完璧にシャープな像が得られるので、スポット位置だけでなく、ピントの合い方もよくわかる。
カメラには前後の微調整機構をつけておいた方が良い。因みに最近のwebカメラは不必要に大きなしゃれたケースに収まっているので、全部はぎ取って基板だけにしてしまうと使いやすい。この方式ならアクロマートレンズやピンホールなども不要なので経済的でもある。

図2 カメラを直置きする方式。