(2018/10/4掲載)
レンズや鏡を連ねて光学系の構築をするときに、ガイドとなるレーザービームがあると便利である。昔はヘリウムネオン(HeNe)レーザーを使ったものであるが、最近は小型で安価な半導体レーザー(LD)を使うことが多くなっている。きれいなガウシアンビームというわけにはいかないが、光の取り回しをするためなら、LDでも十分であろう。安直にはレーザーポインターを使うという手があるが、それなりに大型で値段も安くはない。更に保持の方法が意外と悩ましい。そこで、小型のレーザーモジュールを購入して、超小型のアライメントツールを作って使っている。アマゾンで買ったLDはφ7mm×21mm とかなり小型なので、図のようにミラーホルダーに直接差し込んで使うことができる。こうするとΦーθの微調整が可能なので、光軸に乗せる調整が大変楽になる。さらにこれ全体をx-yステージに乗せて位置の微調整もできるようにすれば完璧であるが、たいていはマグネットベースを手で動かして合わせこむという方式で対処している。
全体が小さいので、光学装置の中に組み込むのにも便利である。筆者は、更に小型(6mm×10mm程度)のLDを購入し、赤外レーザーのガイド光として、レーザー本体(手作り)に組み込んで使っている。
材料:
- たとえばQuarton レーザーモジュール VLM-650-03 LPT 波長:650 nm, クラスII ¥2100; ANBE 5V IIIA 650nm クラスIII レンズつき (10本組み)¥2000。 5Vを掛け続けると劣化するので、印加電圧が4Vくらいになるように直列に抵抗を入れたほうが良い。
- 1インチ角のミラーホルダー ニューポートM-P100-P-H ¥7450 など
- 電源は電池でもよいが、消耗が早いので、スマホ充電用電源をお勧めする(もちろん電流制限抵抗が必要)。
注意点:
- ビーム径がわりと大きいので、出口に1.5~2mmくらいの穴あき板を貼り付けるとよい。ただし当然のことながら遠方ではフリンジが出てしまう。
- アライメント作業には問題ないレベルであるが安価なLDには若干強度ゆらぎやビームパターンゆらぎの出るものもある。
- ミラーホルダーの中心にあいている穴が小さい場合は、ドリルで広げる必要がある。
- レーザーの出口がホルダー側(つまり3点支持の作る平面に近い方)に来るようにしたほうが、φ-θを動かしたときの位置ずれが少ないので使いやすい。
図1 略図
図2 ホルダーにネジ止めしたVLM-650 (つまみの逆側からLDを挿入している。)
図3 ホルダーに接着したANBE 5V IIIA (ホルダーが切り欠き構造になっているのでLDは後ろから挿入でき、更にコンパクトになる。)ホルダーは放熱板を兼ねている。
図4 小型赤色LD ANBE 5V IIIA (頭部を回転することでレンズの距離が変わりフォーカスを変化させることができるので、次に紹介するファイバー用光源としても便利である。)